1915年生まれの三井
2001年に86歳で逝去されるその日まで、自らの手で温熱治療を1日に何人もの方にされたといいます。
「バッテリーがあがれば自動車が動かなくなるように、人間も心身に疲労がたまるとバッテリーがあがってしまう。人間のパワーの源は熱。熱が足りない身体は不調になる」 「悪いところが熱い。そこが熱くなくなれば満足」。こんな言葉で励まされながら治療に訪れた方はみるみる元気を取り戻されていったそうです。
三井温熱療法の創始者三井
やがてガンを初めとした難病系の患者が増えるにつれ、今までの療法にさらなる熱が必要だと感じた三井先生は、最初、アイロンパーマを改造した器具を使って、病で疲弊した身体に直接熱を与え始めました。
全身を温めようとするのではなく、常に移動しながらの熱刺激は、時に心地よく、時に思わず声を発するほどの熱さを伴います。この反応を「アチチ反応」といい、この熱入れの過程を「注熱」と名づけました。
我々の意識の及ばない身体が出すさまざまな反応点を熱は的確に見つけ出し、刺激していきます。
彼女は日々くり返す注熱の中で、ひとつの真実にたどり着いたのです。
「自律神経」の乱れが病気の原因であるならば、その「自律神経」の乱れを正すことが病気を治す最大のポイントなのだと。
ストレスにより交感神経過敏に大きく傾いてしまった身体を元に戻すために最適な方法は、決して気持ちの良い温熱を繰り返すだけでは足りないのです。
『交感神経に喝を入れる!』と彼女は自らの著書に記しています。背骨を中心とした背中への注熱は、身体に強烈なインパクトを与え
「脳脊髄神経」と「自律神経系」を揺り動かします。皮膚と内臓の関係に着目した三井先生はさまざまな臨床を重ね、背骨はもちろんのこと、内臓が疲れているサインや痛みを皮膚表面で的確に熱刺激していきました。
一時間のケアが終わるころには患者は笑顔に包まれ、今まで忘れていた元気なころの自分の身体を思い出します。
熱が入って元気になっていく様は「まるで雨後のたけのこのようだ」とも記しています。
熱を伝導的に与え身体を温めるとともに、身体がほしがるポイントに的確な刺激を与え自律神経を活性化する、この二つを同時に行うことができるのが「三井温熱療法」の大きな特長なのです。